図書館で借りました。
日経新聞のおすすめ図書(実際には新刊の方ですが)として掲載されていた脳研究者の池谷祐二さんの本です。
26構成になっていて過去に書かれたエッセイがオリジナルとなっているそうです(11章、22章、26章に池谷さんのメッセージが詰まっています)。
「脳はどのように「信頼度」を判定するのか?」「「今日はツイテる!」は思い込みではなかった!」、「勉強法にこだわる」、「やり始めるとやる気が出る」などタイトルを見ただけでも読みたくなります。
池谷さんは、「よりよく生きるとは何か」を考え、楽しくごきげんに生きることを、この目標を達成するため脳科学の成果が活きることを目標としてアウトリーチ活動のテーマとしているそうです。
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第11章「まずは形から」で幸福になれる!?
楽しい感情には、問題解決を容易にする、記憶力を高める、集中力を高める効果があるそうです。また笑顔ににた表情をつくると、ドーパミン系の神経活動(「快楽」に関係した神経伝達物質)が変化することを見出しています。つまり、楽しいから笑顔を作るというより、笑顔を作るとたのしくなるという逆因果が私たちの脳にあることがわかります。
また、恐怖、嫌悪の表情についてもそれぞれの表情をつくるだけで、視野が広がり眼球の動きが速まり遠くの標的を検知できるようになり、一方嫌悪はまったく逆で視野が狭くなり、鼻腔が狭まり、知覚が低下するそうです。
感情によってそのような状態になるのではなく、表情を作ることによってこれらの状態にスイッチが入る、というのにはとても驚きました。
気持が高ぶって判断を誤りそうだ、慎重にいかなくては、というときは、故意に表情を変える(恐怖?)ことにより、より慎重にいけるということ。
また気持が下がっているときは口角を上げるだけでも楽しくなるということですね。
なるほど。
第22章「ヒトは自分のことを自分では決して知りえない」
実際の行動の大部分は環境や刺激によって、あるいは普段の習慣によって決まっている。
無意識の自分こそが真の姿である。
脳という自動判定装置が正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過去にどれほどよい経験をしてきているかに依存している。だから「よく生きる」ことは「よい経験をする」ことだと考え、そうすると「よい癖」ができ、瞬時の判断で、適切な発言や気遣いができる、このような適切な行動は、その場の環境と、過去の経験とが融合され形成される「反射」であり、だから、人の成長は「反射的に鍛える」。反射を的確にするには、良い経験をする。素晴らしい経験はかけがえのない財産となり、適切な反射力として実を結び、センスや直感などもすべて経験の賜物です。
わざわざ○○をする、と気張らなくても、日常生活からコツコツとよい経験をすればいのであれば、わたしにも「反射的に鍛える」ことができそうです。
たしかに、ちょっとしたところで人柄とか、行動、言動ってでてしまいますもんね・・・。
逆に、悪い反射癖は直すのが中々難しいそうです。
第26章「やり始めるとやる気が出る」
脳に記憶された情報は、どれだけ頻繁に脳にその情報が入ってきたかではなく、どれほどその情報が必要とされる状態に至ったか、つまりどれほど使ったかを基準にして選択される。眠くなるというのもあくまで身体がトリガーとなっており、「やる気」もやる気が出たからやるというより、やり始めるとやる気が出るというケースが多くあります。わたしたちの脳が「出力を重要視する」ように設計されている以上、出力を心掛けた生き方を大切にしたいと。池谷さんはいっています。
(やらなくてはならないことで)あまり気が進まないことでも、やり始めてしまえばいつの間にか終わっているということですね。この行動が「よい経験」とリンクすれば相乗効果を得られるのではないのかしら、と思ってしまいます。
Kindle 版もあります。
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